
改革の影響を明らかに受けている。旧来の国立大学においては、原則として専門各学部のほかに一般教育を教育する教養部が設置されていたが、大学設置基準の改正により一般教育科目と専門教育科目の垣根が取り払われたため、各大学とも教養部の「生き残り」という難題に直面した、その対応は大学によって異なり、「文化」「国際」等を冠する学部に“昇格”したところもあれば、既存の学部に教養部の教員をあてはめるという形で対応した大学もある。その際に、学科改組が行われることになり、その方向性の1つが「政策」なのである。
また、従来の政治学科を行政学科に改組するというトラスティックな改革を実施したのが北九州大学法学部である。新しい行政学科では、「政府と市民生活の関わりの原理的認識を深めるとともに、個別的・具体的な公共問題に対応しうる問題解決能力・企画能力を有する政策思考型の自律的市民を養成するため、都市(地方)・国家(中央)・世界(国際)の各レベルにおける政治学・行政学・国際学の基礎的原理的学科目および現状分析的応用的な政策論的学科目を体系的に配置」(『北九州大学法学部第1部履修ガイド』より)しており、「政治行政入門」(4単位)を1年次で履修したのち、2年次において「行政学」「地方自治論」「公共政策論」「比較行政論」(各4単位)を、3年次以降において「都市政策」「都市計画論」(各4単位)等を履修する仕組みになっている。学科の名称こそ異なるが、先の龍谷大学政治学科に類似しているカリキュラムである。
さらに、法学部における学科新設において政治学科ではなく行政学科を設置したのが山梨学院大学である。同大学に法学部が設置されたのは大学が開設された1963(昭和38)年であるが、当初より法学科の1学科編成であった。それから30年近く経過した1991(平成3)に学科増設が行われることになるが、その際、行政学科を設置したことは注目される。この学科の特色は行政にかんする理論的研究だけでなく、実際の調査・実習を行いながらアクティブな研究を打ち出していることで、専門科目に「都市政策分析」「行政分析」といった実習科目を配置していることである。講義科目をみると、1年次で「政治行政入門」(4単位)と「地方自治?T」(2単位)が必修となっており、同年次に選択科目の1つとして「地方自治?U」(2単位)があり、2年次に必修の「地方自治?V」(2単位)のほか、選択科目として「政策過程論」「地域政治論」(各4単位)「地方自治?W」「自治経営論」「政治過程論」(各2単位)が置かれ、3年次以降必修の「行政学」(4単位)、選択科目の「行政管理論」「都市政策」「地域産業政策」(各4単位)が用意されている。しかし、「地方自治」の2単位科目が4種類ありながらそれぞれの性格がいまひとつはっきり
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